京洛最古の国宝建造物である千本釈迦堂、大報恩時へ行ってきました。偶然にもこの日は「釿始め」の現場にも遭遇するという奇跡が!
大報恩寺(千本釈迦堂)
大報恩時(千本釈迦堂)の基本情報
大報恩時(千本釈迦堂)
京都府上京区五辻通六軒町西入ル溝前町1034
075-461-5973
拝観時間 9:00~17:00
拝観料金 600円
駐車場 あり(無料)
釿始め
昭和56から令和2年までは広隆寺で行われていた釿始め。令和4年から大報恩寺(千本釈迦堂)に場所を変更したという事で、ちょうど儀式を見る事が出来ました。
釿始め(ちょうなはじめ)は、番匠の一年の無事安泰を祈願する仕事始めの儀式で、平安時代からある伝統行事です。
京きやり(祝い歌)を歌いながら、釿始めで使われる木が本堂前に運ばれる御木奉担(おきほうきょ)、次に神職による祝詞奏上、曲尺(かねじゃく)などで寸法を計る墨矩の儀(すみがねのぎ)。
墨壷(すみつび)で線を引く墨打の儀(すみうちのぎ)、釿を振り下ろす釿打の儀(ちょうなうちのぎ)、三献の儀(さんこんのぎ)、槍鉋(やりがんな)で丁寧に削る清鉋の儀(きよがんなのぎ)、最後に京きやり(祝い歌)が奉納されて終了です。
住職さんと宮大工さん達が記念撮影をし、その後にお餅を振る舞われました。後で食べたけど美味しかった~♪
国宝の本堂
まずは大報恩時の本堂へ。 本堂は創建時からそのままの状態で、応仁の乱や文明の乱などの被害を乗り越えた奇跡の建造物です。
内陣の柱には応仁の乱で生じた刀や槍の跡がリアルに残っていて、槍跡の穴につい指を入れてしまいます。
本堂の本尊は釈迦如来坐像で重文。快慶の弟子である行快の唯一の作品だそう。
おかめ信仰
大報恩時の本堂を造営の際、大工の棟梁である高次が、柱の寸法を間違えて切ってしまいます。困った高次に妻のおかめが「いっそのこと斗組にして施工したらどう?」とアドバイスすると、これが見事成功し本堂を完成させることが出来ました。
しかしおかめは、女の提言で高次が退任を果たしたという事がバレてはまずいと、世間に漏れる前に自害してしまいます。ああ、おかめ、何てことを・・・
高次は福面を扇御幣につけて飾り、おかめ塚を建ておかめの冥福を祈ったと言われています。
そんなおかめは人々から信仰の対象になります。大報恩時の本堂の東側には「おかめ人形展」が開催されていて、様々なおかめの面や人形が展示されています。
様々な兵乱にも耐えた大報恩寺の本堂ともリンクし、災難消除や招福祈願のためにおかめを信仰する参拝者が後をたちません。
定慶の六観音菩薩像
重要文化財宝庫の霊宝殿を拝観します。室町時代に作られた高さが約7mの一対の鼉(だ)太鼓縁など、貴重なお宝がたくさんありますが、やはり目をひくのは定慶作の六観音菩薩像です。
左から如意輪・准胝・馬頭・十一面・千手・聖と並びます。基本的に准胝観音菩薩像を目当てで行きましたが、如意輪も馬頭も千手も素敵すぎて、もう全部いい感じで嬉しくなってきます。六観音を近くで見たり、ちょっと離れて遠くから眺めたり、見ていて全く飽きの来ない六観音の布陣。定慶恐るべし。素晴らしい作品。
六観音にはそれぞれに六道の札が掲げてありました。これは観音信仰からきていて、観音様の導きにより六道世界から救われるというものです。如意輪観音は天道、准ていは人間道、十一面観音は修羅道、馬頭観音は畜生道、千手観音は餓鬼道、聖観音は地獄道を担当しています。
快慶の十大弟子像
定慶の六観音菩薩像の対面には、快慶作の重文「十大弟子像」が並んでいます。この作品もまた惹きつけられる魅力があり、十体弟子の姿や表情を観察していると時を忘れちゃいますね。
増高は約90cmで快慶晩年の作品。釈迦に従う十人の弟子をリアルに表現しています。
拝観していたおばさんが「うちの主人は十大弟子の名前を全部言えるんだよ」と話しているのを聞いてちょっと感心。
傅大士及二童子像
定慶の聖観音像の脇から、非常に気になる楽しいオーラを感じます。中国の僧「傅大士」と、普建・普成二童子の像がその正体。
特に普建・普成二童子のはちきれんばかりの笑顔と愛くるしい仕草がたまらない!両手広げてニコニコされたら、もう力が抜けてきますよ。
霊宝殿の個人的MVPは普建・普成二童子のお二人に決定しました~♪
大報恩時にはお宝がいっぱい
今回は大報恩時でいきなり貴重な釿始めを見させてもらい、亭主思いのおかめの生涯を知り、六観音菩薩像と十人弟子像と普建・普成二童子の彫刻作品に触れ、何とも有意義な時間を過ごせました。
辛いことがあったらさ、二童子の笑顔を思い出せば全て解決すると思うよ~(^^♪