【国宝】奈良の円成寺で運慶の大日如来像と会ってきました【忍辱山】

2024/01/01

奈良

忍辱山円成寺の庭園

運慶のデビュー作を求めて、奈良県の円成寺へ行ってきました。

忍辱山 円成寺

円成寺の基本情報

忍辱山 円成寺
630-1244奈良県奈良市忍辱山町1273
0742-93-0353
駐車場 無料
忍辱山 円成寺のHP⇒http://www.enjyouji.jp/

忍辱山とは

奈良市忍辱山町・・・まずこの地名が凄いよね。忍辱山町は「にんにくせんちょう」と読むんです。

忍辱山の「忍辱」とは、この世に生かされたまま仏様の境地に到達するための六つの徳目「六波羅蜜」のひとつで、いかなる苦しみや困難に耐え成長する力を指します。辱め(はずかしめ)を忍ぶのが「忍辱」なんですね。

「忍辱山」というのは円成寺の山号で、同じ名前の寺名を区別するため。ルーツは中国だそう。

円成寺の庭園

忍辱山円成寺の入口

国道369号線の柳生街道を車で走ると、忍辱山円成寺の無料駐車場が見えてきました。 駐車場の料金は無料で、車を停め柳生街道を横断し、円成寺の庭園へ続く階段を降りていきます。

すると緑の中に大きな池と立派な門が。円成寺ってこんな良いとこだったの?

円成寺の素晴らしい庭園の風景

運慶仏だけの情報しか仕入れていなかったので驚きました。見事な庭園。 

 円成寺の庭園は平安時代末期に寛遍僧正が浄土式と舟遊式を兼ねて造ったと言われています。舟遊式とは、舟に乗りながら池で花見や月を楽しむ様式。

道路からだと見えずらいから、こんな素敵な空間、知らなかったら完全に素通りしちゃいそう。ふと気配を感じ振り返ると、なんとも味わいのあるお地蔵様が円成寺を向いて立っています。

円成寺にたたずむお地蔵さん

ものすごく優しい穏やかな表情で、可愛い毛糸の赤い帽子を被って立ってる。苔むす感じも、ずっと見守ってくれているような温かさを覚えます。

運慶仏を目当てで円成寺に来たのに、運慶仏を見る前からホッコリした気分に。

楼門側を向く地蔵さん

円成寺の池には鯉や亀が自由に泳いでいます。紅葉の時期とか最高だろうな。

重要文化財の楼門は室町時代の再建で、趣ある立派な門。楼門からは入れないので、楼門の左側にある階段を登り拝観受付をし円成寺境内へ。

円成寺の受付に向かう女

円成寺受付の裏側にある相應殿(そうおうでん)に、運慶作の大日如来坐像が安置されています。

え、いきなりあるぞ。どうする?運慶仏拝観を先にするか、最後にするか。でも大日如来はやっぱり最後でしょう!ということでまずは円成寺境内を周ります。

本堂(阿弥陀堂) 

円成寺の本堂

円成寺の本堂は重要文化財です。本堂内部には阿弥陀如来様が。

定朝様の「阿弥陀如来坐像」は、像高145.4㎝の半丈六像。平安時代の作品で、宝相華唐草模様の光背と、九重蓮台に安坐した姿はまさに如来様って感じ。表情も穏やかで癒される。

阿弥陀如来坐像の四方には、力強い四天王像が四隅を守ります。持国天の台座裏の銘文から、運慶の四男である康勝が造ったのではないかと言われています。

阿弥陀如来坐像のある内陣を囲むように、十一面観音立像や南無仏太子立像などが安置されています。内陣以外は派手なライトアップが控えめで、「ライトつけ忘れてる?」ってぐらい薄暗い堂内。でもこの暗さが、本来のお堂の雰囲気を醸しだしているような気がする。十一面観音像の表情も薄暗い中で見続けていると、次第にはっきり見えてくるような感覚。

春日堂と白山堂

本堂の右側にあるのが春日堂と白山堂。

国宝の春日堂と白山堂

ただの祠かと思いきや、あの春日大社の旧社殿で国宝だというではないか!全国で最も古い春日造社殿です。

多宝塔

円成寺の多宝塔は、応仁の兵火で焼失してから債権を重ね、現在の多宝塔は1990年に再建されたものです。

円成寺の多宝塔

運慶が作った大日如来坐像は、もともとはこの多宝塔に安置されていました。大日如来坐像は現在相應殿に移され、多宝塔には大日如来坐像の模造が置かれています。

運慶作の大日如来坐像

相應殿

円成寺をぐるっと周り、いよいよ最後に運慶のデビュー作と言われる大日如来像を拝観します。相應殿は円成寺拝観受付の裏側にある収蔵庫で、大日如来坐像のみ安置。

円成寺の相應殿

「運慶作大日如来」の看板は手書きなんだな。入口で履物を脱ぎ前室へ。前室には円正寺や運慶関連の雑誌などが置かれ、座布団もあります。ここでひと息つけるんだな。そして運慶の大日如来坐像と対面です・・・

運慶の大日如来坐像

元々は多宝塔にあった大日如来坐像は、運慶20代半ば頃の渾身のデビュー作。

運慶単独の作品で、台座に書かれた墨書から、1175年11月24日に制作を始めて、翌年の1176年10月19日に完成した事がわかっています。座高は98.8cm、檜材を使用した寄木造り。胸を張り背筋を伸ばし、穏やかな表情で印を結んでいます。

結構近い距離で大日如来を観る事ができ、背後以外の細かな部分も味わう事が可能。左右からの大日如来の雰囲気がまたたまらない。金箔が所々残っているが、その剥がれた感じも味わい深くていい。お顔もイケメンだ。

定朝様な本堂の阿弥陀如来と比べて、この写実的な運慶作品を眺めていると、なんだか時代の流行の転換を感じて胸が踊ります。

ああ、最高だ~。ずっと大日如来像を見ていられそうでしたが、ちょっと足が寒くなってきたからこのへんで。

円成寺は庭園も素晴らしい

運慶作の大日如来坐像を目当てで来たけど、円成寺の庭園の雰囲気は抜群に良かった。

運慶といえば仁王像ってイメージだけど、デビュー作の大日如来坐像もオーラがもの凄い最高の仏像でした。

運慶仏は実に奥が深い。天才仏師運慶を、今後も追い続けていきたいと思います(^^♪

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