浜名湖の湖北五山と可睡斎

静岡県の湖北五山と呼ばれる寺巡りと、トイレが有名な可睡斎に行ってきた記録。

摩訶耶寺

摩訶耶寺は726年行基菩薩によって開創、新達寺(しんだじ)という名から、真萱寺という名に変わり現在の名前に至る。本尊は聖観音立像で非公開。堂内ではお母さんが縁起などの説明をしてくれた。右側にある賓頭盧さんの片方の玉眼が無かったが、お母さんの子供の頃はあったそうだ。おそらく像内に落ちているのだろう。本堂を左に進むと宝仏殿がある。一番奥には重文の千手観音立像が安置され、藤原初期の作品。がっしりした体躯だが、唇に紅が残っていて色気も感じる。隣には県指定重文の阿弥陀如来、国指定の不動明王立像など立派な仏像が並ぶ。像高13cmの愛染明王坐像は特別公開で、鎌倉時代作の寺宝。小さいが細部も良く造られている美仏だった。摩訶耶寺の庭園も見事。

大福寺

参道の両側には観音&地蔵の可愛い石仏が並び癒される。本堂には秘仏の薬師如来、宝仏殿には奥の中央に十一面観音立像と聖観音立像、左に地蔵菩薩・歓喜天・薬師如来、右には不動明王像が安置されていた。庭園も有名。大福寺には大福寺納豆(浜名納豆)という納豆の元祖的な食べ物があり、明の僧から伝来され足利七代将軍義勝、今川義元、豊臣秀吉、徳川家康以下歴代の将軍に献上された由緒ある納豆。薬味に山椒の中皮が入っているという、なかなか味が想像しずらい納豆だ。

  広い境内には羅漢像が至る所に安置され参拝者を迎えてくれる。本堂ではボランティアのスタッフさんが案内してくれて助かる。国重要文化財の釈迦三尊像は1351年の作で、元は茨城県の寺にあった像らしい。江戸時代に色を塗り直されたが、再度当時の質感に戻すため塗料を剝がす作業が施されていて良い感じになっている。美仏と言っていい傑作仏だ。山門前の蕎麦屋にいる猫が癒される。

井伊直虎ゆかりの寺で、庭園も有名な歴史と花の古刹。本堂に入るとまず演習最大の丈六仏が迎えてくれる。釈迦牟尼仏坐像で、狭い部屋の中にすっぽりとお座りだ。結構傷ついているが、この傷は明治時代の仏教排斥運動で出来た傷らしい。隣には秘仏釈迦三尊像が祀られている広い部屋で、釈迦牟尼仏如来がこちらに移動できればいいのに。本堂の裏は国指定名勝の庭園で、小堀遠州作の池泉鑑賞式庭園。庭園の説明も音声案内で流れる。

  叩くと澄んだ音が響く「金鳴石」は金運成就の石として有名。 

可睡斎

可睡斎は曹洞宗の禅の寺として有名。由来は11代住職の仙鱗等膳(せんりんとうぜん)という和尚の名前から。家康の幼少期の教育係だった和尚、浜松城主に出世した家康に城へ招かれた際に、疲れてたのか家康を前にウトウトと居眠りを始めてしまう。それを見た家康は親愛の心を悟り「和尚、睡(ねむ)る可(べ)し」(御前で眠っても無礼ではない)と言い「可睡和尚」と呼ばれるようになったことから。居眠りしている現場の和尚と家康の絵もあり、なかなか可愛くてホッコリする。

日本一の大東司には烏枢沙摩明王が安置されていている。高村清雲の傑作で、清雲は高村東雲の孫。憤怒形の四臂で左手は天を指し、髑髏を持ち、右手は宝棒と独鈷を持っている。左足で歓喜天を踏み、踏まれてない方の歓喜天は両手を合わせ正座している。

禅宗では東司で話をしてはならない。三黙道場という修行の場で、「僧堂」という座禅と食事の場、「浴司」という風呂場、そしてトイレの「東司」は私語厳禁。烏枢沙摩明王は関西では「うっさん」と呼ばれ親しまれているそう。素晴らしい空間で心身ともに浄化されたような気分になりながら用を足す。

期待していた五味八珍は微妙で残念だったが、清水港で立ち寄った宮本商店の生本マグロ丼は筋もなく美味しかった。桜エビのかき揚げもスナック感覚で軽くペロリだ。

かんなみ仏の里美術館も綺麗な仏像が多数展示してあり、なかなか見応えがあった。

かんなみ仏の里美術館のHP⇒http://www.kannami-museum.jp/